【失敗させない】猫が快適に排泄できるトイレ環境の整え方、7つのポイント

キャットシッターを何年もやっていると、猫に関する様々なご相談をいただきます。
不動産屋として猫住宅の見学案内をしていても、たまにご相談を受けることがあります。
いつもお悩みのトップに君臨するのは、猫のトイレに関する事。

そこで、猫が快適に排泄できるトイレ環境の整え方をお伝えします。

 

理想のトイレとは?

大きさは体長の1.5倍以上

猫が悠々と用を足すには、ある程度の大きさが必要です。
祖先を遡れば、猫は砂漠で生活をしていた動物。広々とした砂の上で排泄する事を本能的に知っています。最適なトイレを用意すれば、教えなくても猫は自然にそのトイレで用を足すでしょう。
用を足したら砂をかいて隠す習性があります。天敵から身を守るために、自分のニオイを消すのです。座るのがやっとの小さなトイレでは、十分な砂かきが出来ません。また、小さなトイレだと、かいた砂がトイレの外にたくさんこぼれてしまう光景もよく見受けられます。トイレの中で方向転換がしやすく、猫が動きやすい大きいトイレを選びましょう。

カバーのないオープンタイプ

次に、トイレの形について考えてみたいと思います。
「砂が飛び散るから」「猫が落ち着くと聞いたから」という理由で選ばれているカバーつきのトイレ。もしも私が猫だったら、カバーつきのトイレはまったく落ち着きません
まず、ニオイがこもります。モワ~ンと臭うトイレには極力入りたくないですよね。
それから、多頭暮らしの場合は出入口で待ち伏せされる可能性があります。1つしかない出入口に同居猫の気配があれば、出るものも出なくなってしまうかも。。カバーつきのトイレは猫にとっては逃げ場がないと考えてください。
ちなみに、長毛種の猫は出入りの際にカバーの側面に身体が触れて静電気が起こることがあります。一度嫌な思いをすると、そのトイレは猫にとって嫌なトイレになってしまいます。
猫が用を足した事に気がつきやすく、掃除しやすい、清潔を保ちやすいという点でも、カバーのないオープンタイプを推奨します。

実は以前、mybestというサイトで猫トイレに関する記事の取材を受け、コメントをしておりますので、そちらもご参考にしていただければ幸いです。

【キャットシッター直伝!】猫用トイレのおすすめ人気ランキング10選

猫用品はどんどん新しい商品が発売されていて、大型トイレのラインナップも増えています。うちのコに合うトイレを探してみてくださいね!

猫の数+1、場合によっては猫の数×2

猫がいつも清潔なトイレを使えるよう、トイレの数は頭数+1を用意しましょう。
1頭ならトイレは2つ、2頭ならトイレは3つ、3頭ならトイレは4つ、という事です。
ただ、私はこれはケースバイケースだと思っています。
ご自宅でお仕事をされていて常にトイレ掃除ができる状況なら、猫の頭数分のトイレがあれば十分な場合もあります。
もちろんトイレの数は多いに越したことはないのですが、住居スペースにも限りがありますので、臨機応変に考えてみてください。
逆に、1日のお留守番時間が長い場合や、腎臓病や糖尿病を患っていてオシッコの回数が多い場合は、猫の数×2くらいがちょうど良いかも知れません。

イヤイヤサイン

トイレのヘリに足をかける

猫がトイレのヘリに手足をかけていたり、器用にヘリに乗って用を足している姿を見た事はありませんか?「わぁ~、可愛い!」「うちのコ器用なの」なんて言っている場合じゃありません。それは猫からの「このトイレ勘弁して~」のサインです。

用を足した後、急いで出る

用を足した後、自分の排泄物に見向きもせず急いでその場を去るのも、そのトイレをイヤイヤ使っている証拠。前述した通り、猫は用を足したら砂をかいて隠す習性があります。

用を足した後、砂をかけない、違う場所をかく

「うちのコ砂をかけないの」「同居猫が砂をかけてあげている」という話をよく聞きます。
じっくり観察して、砂をかかない理由を探ってみましょう。トイレに乗っかる、急いで去る、のコンプリートなら、砂に触りたくないのかも。

仕方なく使っている感がある

猫がトイレの前をウロウロしている姿を見た事はありませんか?まるで「入ろかな、どうしようかな・・・」と迷っているように。
これはキャットシッターとして多くの猫たちを観察して気がついた事なので、正しいかどうかはわかりません。ただ、気に入ったトイレの場合は猫たちは尿意を感じるとわりとすんなりトイレに入って用を足します。(便意はまた別なのですが・・・)
トイレに入る事を少々ためらっている場合、上記の“ヘリに足をかける・急いで出る・砂をかけない、違う場所をかく”のいずれかの行動をする確率が非常に高いです。もうこれは、今のトイレに不満があるけれども仕方なく使っている状態ですね。

【point】
イヤイヤサインが見られたら、トイレの形、大きさ、砂、場所等、一つずつ見直してみましょう。
気持ちよく使えないトイレでは排泄を我慢してしまい、膀胱炎等、泌尿器系のトラブルにつながりかねません。

粗相の原因

医学的な問題

泌尿器系のトラブルをはじめ、病気で排泄をコントロールできなくなっている可能性があります。トイレ以外の場所で排泄をするようになったら、まずは獣医師に相談をしましょう。

トイレが気に入らない

形、大きさ、砂、場所・・・とにかく今のトイレが嫌!イヤイヤサインを通り越してしまったら、もうトイレに見向きもしない状態です。しっかりと好みを探って超快適なトイレを用意しましょう。

トイレが汚れている

いつもはトイレを使うけれど、たまにトイレ以外で排泄をする場合。トイレが汚れていませんか?排泄物で踏み場がなくなっている、ウンチが放置、トイレ容器が汚れている・・・猫は綺麗好きです。こまめに排泄物を取り除いたり、容器を洗う、トイレを増設する等の対策をしましょう。砂が少なくなっていないかにもご注意を。

別の場所をトイレと認識

何らかの理由でトイレ以外で排泄をし、その場所にニオイが残ってしまうと結果的にそこがトイレになってしまう場合があります。ニオイが残らないようにしっかりと掃除をするのと同時に、超快適なトイレを用意しましょう。

スプレー行動

去勢・避妊手術をしていない猫は、尻尾とお尻を高く上げてオシッコを吹き付ける「スプレー」をする場合があります。この行為はオスに多いですが、メスのご相談もあるのです。不妊手術をしていても、近くに発情中の猫がいると触発されてスプレー行為をすることも。本能的な性的スプレーは手術や他の猫に近づけない事である程度は対処ができますが、ストレスによるスプレーは注意が必要です。原因が一つではない事も多く解決には時間がかかるかも知れませんが、糸口を探せば必ず方法は見つかります。以下の項目を参考にしてください。

何らかのストレスがある

健康チェックをしても問題がなく、トイレ環境を整えてもなお粗相が続く場合、考えられるのは縄張りにまつわるストレスです。最近、変わった事はありませんか?部屋の模様替えをした、家具を新調した、処分した、引っ越しをした、家族が増えた、減った・・・今まで家にいた人が外出するようになったり、今まで家にいなかった人が自宅で過ごす時間が増えると、猫によってはストレスを感じる事もあります。また、家の中だけではなく、外猫の存在や工事等、外の変化を感じ取り不安になる場合もあります。忙しくて猫と遊ぶ時間が減ったというのも、猫にとっては大きな変化ですよね。人間から見れば大した事がなくても、猫には重要な縄張りやルーティンです。猫に寄り添って、解決策を探しましょう。

【point】
猫がトイレ以外の場所で排泄をしたら、ニオイが残らないようすぐさま淡々と掃除をしてください。「コラ!」「ダメ!」と叱るのはNG。罰を与えてやめさせようとするのは問題が複雑になる可能性が高く断固禁止です。「寂しかったのね」と抱きしめるのもよろしくありません。人間が何かアクションをすれば、猫は「かまってくれる」と学習して粗相を繰り返す可能性があります。猫の気持ちになって、なぜそこなのかをじっくり考え、快適な排泄環境を整えましょう。

 

砂選び

鉱物系

自然の砂に最も近く、他の砂から鉱物系に変えただけでトイレ問題が解決した例もあるほど、猫に好まれやすい砂です。固まりやすく、消臭力が高いのが特徴。粒が小さいので飛び散りやすいですが、その分感触は良く、排泄後に砂かけしやすいのも猫に人気の理由と言えます。ザッザザッザと念入りに砂かけをしているのは猫が砂を気に入っている証拠。思う存分かかせてあげてくださいね。

紙系

軽くて使い勝手が良いのが特徴です。ほとんどの砂が白く、色が変わらないタイプはオシッコの色をチェックできます。泌尿器系トラブルの多い猫には健康管理しやすい砂です。踏み心地を嫌う猫もいるので、他の砂と混ぜて使ってみても〇。

粒の大きさは商品によって千差万別。小さな粒でサラサラしているタイプが猫に好まれやすいです。木製なので環境にやさしく、どの商品もほんのり木の香りがします。固まりにくく、ポロポロと崩れてしまう傾向は否めません。

おから

おからの香りに誘われて、食べてしまう猫多数。粒が大きめなのが特徴で、肉球に挟まりにくいです。

○○の香り

猫の砂は無臭か、上記のような自然の香り程度のものを選びましょう。というのも、猫の嗅覚受容体は2億個もあると言われています。人間は5600万個程度です。人工的な香りのついた砂は猫を遠ざけます。仮にその砂で排泄をしてくれたとしても、猫にとってはものすごく我慢をして仕方なく使っているだけかも知れません。芳香剤も同じです。猫の事を考えるのなら、無臭第一です。

【point】
砂を変える際は、今までの砂に新しい砂を少しずつ混ぜて徐々に切り替えましょう。
複数のトイレを用意してそれぞれ違う砂を入れ、猫に選んでもらうというやり方もオススメです。我が家の猫たちには定期的にそうして“今の好み”で取捨選択をしてもらっています。(日が経っても使われない砂はサヨウナラになりますが・・・)

 

置き場所

静かで温暖

「ニオイが気になる」「隠したい」といった理由で、洗面所や人間のトイレに猫のトイレを置く事例が増えています。猫目線で考えますと、ちょっと待って!です。例えば洗面所の場合、洗濯機が近くにあると大きな音や振動がします。排泄中に驚く事があれば、そのトイレは嫌な場所になってしまう可能性があります。また、洗面所やトイレは夏は暑く、冬は寒くなりがちな場所。お部屋の中で心地よく過ごしている時に尿意を感じても、「トイレ寒い(暑い)んだよなぁ」と思ったら、少し我慢してしまいませんか?特に冬の寒いトイレは泌尿器系のトラブルにつながりやすくなります。トイレは通年快適に排泄できる場所に置きましょう。

目の届く場所

猫のトイレは、できるだけ人間の目の届く場所に置く事をオススメいたします。リビングの片隅や部屋の端っこ等、チラッと見える場所がベストです。排泄のタイミングがわかりやすく、すぐに掃除ができるだけではなく、排泄の様子を日頃から観察する事ができます。座ってから排泄物が出るまでの時間も健康状態のバロメーターになります。なかなか出ない、時間がかかる、なんか辛そう・・・そんな時は獣医師に相談してください。早めの対処ができるのも、目の届く場所にトイレを置くメリットです。

 

トイレはトイレ

猫のトイレは、ごはん処やお水飲み場とはできるだけ離しましょう。最近、DIYで猫のトイレを囲み、その上をお水飲み場にしている事例を複数拝見します。トイレの上に猫ベッドを置いて寝床にしているケースも。そんな方々に、私は言いたい。アナタは仮設トイレの上に座ってお茶を飲めますか?仮設トイレを並べてその上に布団を敷いて、気持ちよく眠れますか?

 

猫にとって一番良い場所に置く

いろいろと書きましたが、一番良いトイレの場所は猫に選んでもらいましょう。迎えたばかりであったり人馴れしていない猫は、人目のつかない場所を好むかも知れません。容器や砂と同様、場所もあちこちに置いてそのコの好みを探ってください。健康管理の視点では、徐々に目の届く場所に移動できれば良いと思います。高齢になってきたら各部屋に置いて、どこにいてもいつでもトイレに入れる環境を作ってください。場合によってはトイレに出入りしやすいようにステップやスロープをつける事も考えてみましょう。

清潔を保つには

気がついたら取り除く

猫トイレの掃除の基本。それは、気がついたら取り除く!とにかく放置しない事です。疲れていたり、手が離せない時、直視したくない気持ちになる事があるかも知れません。でも、直視したくないのは猫も一緒です。(自分の排泄物でも)
サッサと片付けてしまうのが衛生的にも精神的にもよろしいかと存じます。

側面や底に残さない

トイレが大きかろうが小さかろうが、端っこで用を足す猫がいます。そうすると、どうしても側面にオシッコがついてしまいます。トイレの真ん中で用を足しても砂が少ない場合は、底についてしまいますよね。そんな時は塊を取り除いたついでに、側面や底を拭いておくと雑菌の繁殖を抑えられます。スコップも同様に気がついたら拭いておきましょう。

月に1回は丸洗い、砂の入れ替え

最低でも月に1回はトイレ容器を丸洗いしましょう。砂も新しい砂に入れ替えてくださいね。気持ちよくて猫が喜ぶこと請け負います。

好みはそれぞれ

猫に選んでもらおう

繰り返しになりますが、トイレも砂もとてもたくさんの種類があります。ここまで書いてきたのは一般的な見解で、私の独自目線も含まれています。他にもシステムトイレという選択もありますが、健康管理や洗いやすさの視点で今回は省きました。当然ながら猫によって好みはまったく違います。大きなトイレを推奨していても、絶対におまる型じゃないと嫌!という猫もいるくらいです。あまり先入観を持たず人間の都合だけで選ばずに、うちのコはどのタイプが好きなのかな?と楽しみながら知るというのが一番の理想かなとも思います。

まとめ

猫がトイレ以外の場所で排泄をするのは、今の環境が快適ではないという猫からのサインです。
猫の気持ちになって「なぜ」をしっかり考えてみましょう。

 

猫に関する電話相談、オンライン相談はキャットシッターwithまで

猫の住環境に関するご相談は第一住宅まで

 

それでは、また!
お読みいただきありがとうございます。

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